一般社団法人 京都府建築士事務所協会 会報誌 「すじかい」No.432 2016.12 に掲載されました。
桃山支部・教育活動の報告 2016.11.11
桃山支部では、今年も京都市立伏見工業高校の授業を受け持つことになりました。ラグビーをはじめ、何かとスポーツの話題が多い高等学校ですが、技術系のコンテストなどにも良い成績を残しています。みなさんご存知の通り、既に京都市立洛陽工業高校と共に再編し「京都市立京都工学院高校」と名を改めてスタートを切っています。実は、昨年に誤った報告をしました。我々は「伏見工業高校最後の授業を担当します。」と伝えましたが、伏見工業高校生として入学した生徒は、伏見工業高校生として卒業します。従って、今年2年生が来年卒業する時が最後になるのです。来年はこの2年生も新校舎に移り卒業するそうです。
本題に入ります。今年の課題は「私の家〜ONE ROOM〜」です。昨年の経験と前期の課題を発展させた内容です。昨年の課題をベースに担当教諭と意見交換会を行いました。新しく課題を作成するにあたり「昨年の課題と違っても良いのか」の質問に「指導者が変われば、課題も変わる」との返答がありました。私の経験では1課題4〜5年は続ける必要があります。同じ課題で、毎年新しく進級してくる学生を知る上でも、少々修正するものの同じ課題を続けます。昨年の反省や問題点の8項目を提示して話し合いを行った上で、新たな課題に取り組みました。
今年の特徴は、2つです。まずは個人の個性を尊重する。昨年は住宅において、建築士は自邸を設計することより、他人の家を設計することが圧倒的に多いことから、クラスメイトを施主として設計を行いました。しかし、今年は自らの自邸を設計します。また昨年は20年先の住居でしたが、今回は数年先の近未来を想定しました。設計に直面してリアルに展開させようとの仕掛けです。
第2に、昨年ほどではありませんが、今年も女子生徒が多い事から女性建築士を特別講師にと、希望を出したところ名案だと即答を頂きました。生徒の中間発表時、レクチャー、最終評価の立会いをお願いしようかと思っています。今の伏見工業高校は女子生徒が多くなったにも関わらず、見渡す限り男教師ばかりです。苦手科目の克服には同性の先生が良いことはよく知られています。おそらく習慣や考え方などで共通する点が多く、苦手克服の切っ掛けが有るのかもしれません。こんな事から、生徒の刺激剤になって頂ける事を望んでいます。
授業の初日は10月20日午後12時30分、短縮授業期間です。まずは京都府建築士事務所協会を代表して上野名誉会長に生徒への激励の挨拶を頂きました。その後、昨年はCGアニメーションから始めたのですが、今年は正当に住宅作品の解説を行いました。世界で〇〇な住宅と別荘、日本で〇〇な住宅と別荘、2つのワンルーム住宅の計6作品について、課題の参考として少々片寄ったポイントのみの解説を行いました。
今年度は、牧野孝明さん、女性特別講師(他支部または部会から応援)、萬野の3人で、京都市立伏見工業高校2年生【創造研究Ⅱ】を担当したします。
萬野光雄