JIA京都・建築と子供たち2020春

2020年5月21日 /

JIA京都・建築と子供たち2020春

新型コロナウイルス蔓延防止の真っ最中に、星野源さんが「うちで踊ろう」と外出自粛を呼び掛けました。これに影響を受けて、JIA京都・建築と子供たち委員会は、臨時休校で自宅待機の子供たちへ「うちで建築つくろう」を呼び掛けることにしました。ところで何をつくるのか?今までの活動は京都をテーマに作品をつくってきました。しかし、こんな外出自粛をしている時なので、思い切って世界に飛び出そう。そして私たちが影響を受けた建築を京都の子供たちに紹介しようと方向性を決めました。
今回は僕が思い入れのあるイタリア・ミラノの建築家アルド・ロッシ。2011年3月、東日本大震災の1週間後の日曜日ミラノの大使教が復活祭前の大切なミサを「震災犠牲者の冥福と被災地の復興」を祈ることに捧げてくれたのです。当日の祭壇には「平安」と漢字で書かれた大きな書が飾られ、しかも日本人がお祈りを形にしやすいようにと「お焼香」の時間を取り入れてくれたそうです。その日は、カトリック信者ではない在ミラノの日本人も招待され、列をなして粛々とお焼香の独特の仕草で祈りを捧げる光景を、ミラノの人たちが静かに見守っていたそうです。教会でもお寺でも見たことのないような大量の煙が大聖堂に立ち込めたと聞きます。僕はカトリック信者ではありませんが、素早く柔軟なミラノ大聖堂の対応に、今も感謝しています。そして日本も感謝しなくてはなりません。
そんなイタリアが新型コロナウイルスの蔓延で、医療崩壊したとニュースで聞きました。ちょうどイタリアは、世界で一番被害の大きかった時です。特に北部は厳しく、ベニチアは昨年の暴風雨と高潮で街が水に沈み、そこから元気に復興したばかりです。そんなヴェネテチアがんばれ!と胸の内で叫んだ時、アルド・ロッシのヴェネテチア世界劇場が港で停泊している姿が脳裏に浮かびました。
今回の活動は過去のワークショップに参加された子供たちを限定に開催しました。限定の理由は、急いでテレ・ワークショップのかたちを手探りとぶっつけ本番で整えたからです。このウイルスの影響で日常が変わると言われています。私たちの活動の新たなスタイルの切っ掛けになるかもしれないと密かに思いながら、子供たちの作品を心待ちにしているところです。

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