大学3回生の春。丸善で正方形の大きな建築写真の書籍を手に持った。その表紙が「つくばセンタービル」の建築模型写真だった。 GA DOCUMENT 2 。あれから37年になる。竣工を雑誌で知り、つくば科学万博が開催され、僕はバブルに乗って東京を往復するようになった。40歳を超えて独立をして、ようやく自由な時間ができた。出張時には必ず建築を見ることにした。日本の建築家では、白井晟一、丹下健三、磯崎新、安藤忠雄、好きな順から周った。つくばセンタービルについては、東京からでも千葉をこえて茨城なのでついついメニューに入らなかった。ところが思い切って予定を組むと、随分と便利なところにあることを知った。秋葉原からつくばエキスプレス、快速で45分。37年前にこの建築と出会って、西洋の建築は面白い。立体造形は面白い。かたちは、使う機能も大事だが、文化的な理由や意味を持つことが面白い。建築は僕にとって面白いかもしれない。つくばセンタービルの模型は、僕のスイッチを押した建築だった。
つくば駅から地上に上がると、パープルの立体が目に飛び込んできた。
こんなに鮮やかな色だったんだ。驚き。
円の両端を引っ張ってできた楕円の広場。ミケランジェロのカンピドリオを引用し反転させている。
中庭側のホール入り口
階段を降りてホールの1階通路。
2階のホール入り口は見れなかった。
金属的なタイルに周りの景色がやんわりと映り込む。
非常に日本的な表情に思える。
飲食店街は周りのビルに役目を預けて閉店が並び、施設の案内板には一般に馴染みが薄い企業の事務所名が並ぶ。駅前なので人通りは多く、広場の一部は自転車置き場で仕切られていた。ビニール製の雨よけ庇が取り付けられ、破損した照明器具が放置され、新たな設備配管が露出していた。
GA ARCHITECT 6 の最後に掲載されている「つくばセンタービル計画案」の意味深長なドローイングを思い出した。